局所麻酔で生検手術

背骨を取る経験

おそらく人生であまりない経験をしました。

あえてこの様な表現をしますが、想像してみてください。

『骨を引きちぎられるのはどんな感じだと思いますか?』

今日は局所麻酔で痛覚を麻痺させながら行った手術場での出来事を話したいと思います。

第10胸椎棘突起切開生検術

8月に実施する本番の治療の為、そして今回の癌が転移なのか、それとも原発なのかを調べる為に癌のある背骨の一部を採取する手術を行いました。

手術は14時くらいからと聞いていましたが、実際は16時30分から行うことになりました。

なかなか時間通りに手術を行えることは少ない様です。

手術って何時間もかかる事はざらですし、やる側もやられる側も大変な治療ですね。

手術を待っている間は飲食禁止なので喉は乾きますし、お腹は減るし、何より初めての手術、それも局所麻酔で行うという事でずっと緊張しっぱなしで頭が痛くなりました。

待つのもきつかったです。

待ちに待って・・・いよいよ僕の番がやって来ました!

きたぁぁぁ(;゚Д゚)!

手術室に向かう時にはロングの病衣に着替えました。

病棟看護師と担当医師が付き添ってくれて、手術者用のエレベーターで手術室に向かいました。

手術室では手術場の看護師が病棟看護師から引き継ぎを受けています。

手術室用のキャップを手渡され、頭につけました。

緊張しているせいか嫁と話しているとなぜか笑えてきます。

引き継ぎが終わり、嫁に見送ってもらいながら手術室に入りました。

歩いていると看護師から「我慢される方ですか?」と質問されました。

「はい」と答えると・・・

「今日は暑いでも寒いでも何でも良いのですぐ言ってくださいね。痛みも言ってくれたらすぐに麻酔を追加してくれますから。絶対我慢はしないで下さい。」と言われました。

耐えられるからこのような手術があるのだと思いますが、ネット上では脊椎の手術する時には『全身麻酔』と書いてあったので、僕は完全にビビッていました。

正直に看護師さんにもビビってる事を伝えると、「応援してます」「私達が支えますから」と元気づけようと声をかけてくれました。

心の中では『やっぱり痛いのは間違いないんだな』と思いながら・・・。

おそらく手術室は10室くらいあったと思いますが、6番の部屋に入りました。

あまり周りを見渡す余裕はなかったですが、機械が一杯ある手術室の中は音楽がかかっており、コブクロの『YELL~エール~』が聞こえてきました。

『今 君は 門出に立ってるんだ 

遥かなる道をゆくんだ

誇り高き勇者のよう

風立ちぬ その道のどこかで』

昔、コブクロはよく友達と歌った曲です。

あの頃を思い出すと少し勇気が出ました(⸝⸝›_‹⸝⸝)

歌詞の通りで今日はある意味『勇者』になるんだな・・・

手術台まで向かい、まずスリッパを脱いで手術台の上に座ります。

そして上着全部脱いでうつぶせになります(もちろんバスタオルはかけてくれています)。

続いて心電図や血中酸素濃度を測る機械つけていきます。

最後に体の位置を調整します。

これには悩みました。

うつ伏せして寝た事がほとんどないのでうまく位置が会わせられずにきつかったのです。

今回は30分なので耐える事になりましたが、次回の手術は6時間くらいと言われているので大変そうです。

まあ、そのときは全身麻酔なのでわからないでしょうけど。

でも、目が覚めたら首とか辛くなってるのかもしれませんね(-_-;)

手術室では紙面を用いて患者の状態や手術内容の確認をチーム全体で2回もしていて、素晴らしいなと思いました。

手術する場所の特定や画像でのチェックも2回くらい全体で確認してました。

医療ミスなんてしたら大変ですし、何よりチーム戦ですからね。

とても大事な事です。

執刀してくれる整形外科の主治医やオペスタッフの皆さんはとても落ち着いていて丁寧な説明や優しい声かけをしてくれます。

『やるぞ、やるぞ!』と僕も覚悟が決まってきました。

最後に背中から頭部までシートをかけられて、背中を消毒して手術は始まりました。

最初に刺す麻酔は痛かったですが、すぐ効いてきたのが分かります。

背中にした局所麻酔の感覚は歯科治療で麻酔した感じに近かったです。

執刀医の声が聞こえてきます。

「触っているのはわかりますね?」

「では、これは?」

「痛かったら教えてください」

何となく触覚と圧覚は残ってて、引っ張ったり押したりする感じはあるんですが、痛みは全くありませんでした。

「大丈夫です」

僕がそう答えると手術が始まりました。

「メス」とか医療ドラマで聞く様な声もします。

きたぁぁぁ(;゚Д゚)!

最初に背中を引っ張られた時にはもうすでに切って表面を開いて固定しようとしていたんだと思います。

何cmも切ってないんでしょうけど、引っ張られてるので結構切ってる感じがします。

上から照らすライトの光もあるのでしょうか、背中が徐々に熱くなる感じがしながら、徐々に背中の中をいじっていくのを感じます。

引っ張られたり押されたりしながら、『パチン』と何か音も聞こえます。

この時点ですでに痛みがあり、2回追加の麻酔をしてもらっていました。

そして何故か音楽はコブクロばっかりかかっています。

この時にかかっていたのは『轍』。

音楽にも助けられてます。

しかし、本当にやばかったのはココからでした・・・。

これは事前に調べていたのですが、局所麻酔の場合には組織に炎症がある場合や骨が硬くなると麻酔薬が骨の内部へ染み込みにくくなってしまうため神経の所までなかなか到達せず、なかなか麻酔が効きにくくなってしまうらしいのです。

たぶん癌のある骨の近くなのでしょう。

今まで以上に強く押されたり引っ張られている感じが強くなり、「うぅ・・・」と呻き声をあげてしまうくらい痛みが強くなりました。

すぐに「痛いです」と言って追加の麻酔をしてもらいましたが、今までの様にすぐに効きません。

「この辺はなかなか(麻酔が)効きにくいかもしれません」と執刀医の声が聞こえました。

そのまま我慢していると、さらに背中が熱く感じてきて、体(特に手)が震えてきました。

察してくれた看護師が手の上に手を当ててくれました。

骨を採取する時には痛みがヤバかったです・・・。

骨に切り込みを入れながら行っていたと思いますが、骨を押さえながらブチンと引きちぎったのがわかりました。

ふと、出産はこれより何倍も辛いんだろうなと思い出したりもしました。

頭の中では出産時の嫁の様子がフラッシュバックしていました。

ただ、あっちは天使の降臨。

こっちは悪魔の降臨。

闘う相手です。

手術が終わるとなんか汗かいて、手足は冷たくなっていました。

後半からは何をされているかよくわからなくなりました。

・・・というか思考が停止したのかもしれません。

結果的には4回くらい引きちぎられた感じがしました。

話せる様になってから「終わったらすぐに取ったものを見せて下さい」と主治医に言いました。

見せてもらうと、小さいビンにホルマリン漬けされた軟部組織と骨が別々に入っていました。

5mmくらいの大きさだと思います。

主治医は早ければ2週間くらいで軟部組織の検査結果はわかると言っていました。

体についていた機器が外され、看護師に「自分で動けますか?」と聞かれたので横付けされたベッドに自力で移りました。

そして、そのままベットごと病棟まで戻りました。

嫁に会うと「顔色が悪い」「手足が冷たい」と言われました。

また、主治医からはすぐに痛みが出てくると言われ、痛み止めは点滴と経口薬どちらが良いか求められましたが、なんか体につけられるのはわずらわしいので、とりあえず経口薬にしてもらいました。

離床許可が出てからはすぐにコンビニに向かいました。

お腹が減っていた事を思い出したのです!

腹減ったぁぁぁ(꒪ཫ꒪; )

食べてなかった3食分買ってきました。

から揚げ弁当、豚汁、ラーメンサラダ、ゆで卵・・・熱いお茶を飲みながらかきこみました。

手術終了後に病棟に戻ってからすぐに薬は飲んだのですが、背中の痛みは続いています。

食べ終わり、ベッドに戻ってからは歯も磨かずにすぐに横になりました。

嫁に「ちょっと休みなよ」と言われ、そのまま寝ているといつの間にか眠っていました。

結局、夜になってから痛みが強くなったので点滴にしてもらいました。

抗生物質も投与されました。

寝ていてもずっと痛みがありましたが、それでもぐっすり眠れました。

まずは1つ目の山を越えました。

ちょっと生々しかったかもしれませんが、覚えてる範囲で経験した感じをお伝えしましたm(*_ _)m

投稿者:

たろみち

簡単な自己紹介をさせていただきます。 病院でリハビリの仕事をしています。医療従事者としてはそれなりに健康管理をしてきたつもりです。 2017年11月33歳となり、子どもには恵まれ、妻のお腹の中にも3人目が出来て喜びの最中、癌になりました。 家族や仲間や応援してくれる方々の事を想いながら、前向きに上咽頭がんと治療後の副作用と向き合っています。 残念ながら2年後には脊椎に転移してしまいました。 2019年6月現在、転移性脊椎腫瘍と闘っています。

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